ほめとひらシリーズ


全52話+3話+1話

アルバイトを探していたほめ男が、平苺さん
のところで家政夫として住み込みで働きます

癒される平苺さんもさることながら
家事に勤しむほめ男をただ書きたかった


01 今日も、星は綺麗だ。綺麗だけど、でも、ただ、それだけ。

02 肌を刺す冬の夜の寒さを避けて、平苺は、手近なファミレスに、ほめ男を誘った。

03 びっくりしたように濡れた眼を上げたほめ男の、綺麗な眼を向けられ

04 「あの、ぼく、学校はもう冬休みですから、再来週までは、泊まりがけでも大丈夫です!」

05 粒子の細かい雪の粒が、ファミレスの大きな窓にぶつかっては砕け、風に吹き散らされていく

06 「うーむ、いやいや、流石は俺達の一族イチの秀才だなァ。

07 「着替えと、エプロンと、三角巾と…」少年は、自室で、手際よく荷造りをしていた。

08 「はっ、はっ、はっ…こんなに、おそくなるなんて…ほめおくん、おこってるわよね…」

08.5 いっぽう そのころ…某地方、大規模同人誌即売会の会場。ほめ男少年の姉は

09 硬直しきった空気を打ち破ったのは、お鍋の蓋が立てた金属音だった。

10 「はー、いいゆだったの…」ほかほかと顔から石鹸の香りの湯気をのぼらせながら、

11 「ほめおくん、だいじょうぶ?いつもはもうねてるじかんでしょ?もうねましょうか…」

12 「いつでもー おーとこたちのーじんせいーはー ねーらーわーれてーるー♪」

12.5 いっぽう そのころ…「つ、着いたあ!」長距離バスから、転げ落ちるように

13 優しい夢だった。まだ、なんの心配もない、「将来」が「夢」や「希望」と同義語

14 胃の軋む音が、背骨を通して伝わってくる。背筋にかいた汗が、冷たく衣類を濡らしている。

15 17:30の、終業時間のチャイム。いつもであれば、事務や経理の大半と管理職の間には

16 なにも変わっていないはずの道が、別の世界のように見えるのは、

17 「…ん…おねぃ…ちゃん…?」揺らめく光の中、うっすらと目を開けた

18 「むっ…むっ…おいひいのー!」「あの…沢山ありますから、おちついて…」

18.5 いっぽう そのころ…「ほめ子さん、何か食べないと身体に毒だぞ俺。

19 ほめ男の、細い指が、丁寧に、丁寧に、平苺の肌をほぐしていく。

20 魂がそのまま抜け出てしまいそうな熟睡に身を浸していた平苺は、

21 「…ん…」生きているものを全て和ませるような、規則正しいリズムと優しい温度。

22 0900、帝国商事では、朝礼時、ラジオ体操はないが、最後に社歌の斉唱がある。

23 帝国商事の定時、17:30。終業ベルの音が拘束時間の終わりを告げ、

24 「…ちょっとした過労だな。あとは、環境の急な変化で体調を崩しただけだろう。」

25 少年の形の良い額に、布でくるんだアイスノンを巻き付けて、

26 「営業石君、日々の仕事で余裕がないのはわかるが、そこまで笑えないジョークは

27 「ほめおくん、はい、あーん…」「いえ、あの、自分で食べられますから。」

28 三冊目の文庫本を読み終えて、ぐうっと伸びをした平苺は、トイレに行って、

29 「かいしゃのみんなにみつかるといけないから、はんたいがわのしょうてんがいにいきましょ

30 薬局で、レトルトのおかゆやポカリスエット、栄養剤を買い込み

31 「じゃ、いただきましょ!」「はい!」 紫色の空が、藍色へ、そして黒へと変わる頃、

32 「とりあえず、いちじかんでおねがいします。」「はい、それじゃこちらへどうぞー!」

33 すでにすっかり馴染み、ある意味では中毒になりつつある、ほめ男の優しいモーニングコール。

34 「これで、おわりっ、と…」 タカカカッというリズミカルな連続打鍵音を響かせて、

35  可憐な人が小走りにやってきて、平苺に出勤予定表を渡す。「はい」「ありがとうなの」

36 営業の新規開拓がない場合、当然ながら、その後の契約の事務処理や顧客への説明などの

37 「ただいまー、なの!」「お帰りなさい、平苺さん!」 ハイヒールを脱ぎ飛ばして、

38 二人で過ごす、最後の夜。二人は、涙を見せてしまったあとの気恥ずかしさと、

39 明けて翌日。これ以上ない、贅沢な朝を迎えて、ゆっくりと眼を覚ました平苺。

40 一週間分の自分の荷物と、途中で買った買い物の包みを抱えて、少年は、

41 ♪君がいた夏は 遠い夢の中 空に消えてった 打ち上げ花火…♪

42 「このチープなあじが、おまつりってかんじよねー」「久しぶりな感じです…」

43 「んだぁ、ガキぃい?」金髪が、自分の手首を握りしめて、青ざめた顔に決死の表情を

44 「95お兄ちゃん!?」激痛も一瞬忘れての、ほめ男少年の驚愕の声に、無言のままで

45 ほめ男の顔をそっと拭い終えた95姐が、ゆっくりと立ち上がる。その背中に、

46 疲労と、今までの過度の緊張の反動からか、気を失うように眠るほめ男と共に、

47 多少の混乱はあったものの、アバースト女医によるほめ男の治療も無事に終わり、

48 「ほめ男…アンタって子は、いっつも、いっつも…」「お、おねいちゃん!?」

49 完全に怯えて平苺の陰に隠れてしまったほめ男の頭を宥めるように撫でつつ、

50 銀髪の幼女の音頭取りと共に、なし崩し的に再度の宴会へとなだれ込むOS一家。

51 「ほら、ほめ男。こういうことって、タイミングがとっても大切なんだから。」

52 「コー…フー…(今日も我が課は平和だ…)」 マスクの口部分を開けて、



ふたば学園祭9 参加記念「ほめとひら クリスマスイブ」


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